沖縄空手会館の中村館長インタビュー
沖縄空手会館オープン時の2017年3月4日から3年間、沖縄観光コンベンションビューローが指定管理者を努めていたが、2020年4月1日より、新たな共同企業体が指定管理者となった。新指定管理者である「沖縄空手振興ビジョン推進パートナーズ(略称OKP)」という共同企業体は、沖繩ツーリスト株式会社(OTS)、沖繩ビル管理株式会社、有限会社西原農園、株式会社セイカスポーツセンターで構成されている。
沖縄空手会館の指定管理事務所の所長を継ぐのは、沖縄ツーリストの取締役副社長の中村靖氏。なお、今年度から、所長は「館長」とも称されると決定した。
1960年名護市生まれの中村氏は、1985年にOTSに入社した。添乗員として30数か国を回り、長年レンタカー業にも関わってきた。今回、沖縄空手会館の館長に就任した中村氏に会館に纏わる様々な話を聞いた。
会館内のカラテカフェ「AGARI」の首里城タペストリーの前にたつ中村館長
沖縄空手会館の指定管理者になったきっかけ
OTSは、地域資源の観光化を目指しています。地域の文化を磨いて、その文化を訪れ体験する人の生き甲斐になれたらと考えていますと中村氏は説明する。その構想のもとで、OTSは、豊年祭などの伝統行事の関連ツアーを開発しています。結果として、行事が活発的になり、開催者や青年会も元気になったと中村氏は解説する。
空手は、芸能、舞踊、泡盛等と分けて語ることのできない沖縄の文化。しかし空手はある意味キーワードであり、沖縄県や沖縄の観光業界にとって「キラーコンテンツ」である。
これから沖縄空手会館は、「空手発祥の地・沖縄」の発信拠点として活用しながら、沖縄の文化全般の発信にも活用し、多くの観光客の誘致と観光への道筋を作りたいと中村館長は打ち明けた。
運営のコンセプトと重要なところ
「空手発祥の地・沖縄」の文化価値・継承と時代のニーズに合った組み合わせを基礎に、四つのテーマである「創造」「育成」「交流」「生活」で空手会館の関連事業を推進していきたいと中村館長は強調する。
また、大きな施設である空手会館において、誘導も大切だと考えている。
「来館される方々は、様々なサービスを求めています。展示室を見たい、会館を利用したい、空手について情報を得たい。いろんな要望や希望に対し、それぞれの役割を明確し、円滑な誘導を実施したい。そこで、沖縄伝統空手道振興会と沖縄空手案内センターの役割は大きい」と指摘する。
これからの指定管理についての考え
「今回の共同体の4社の内三社は、主に管理に携わることになりますが、OTSは『送客』にも努めていきます。指定管理者と旅行社の立場は違いますが、指定管理だけでは厳しい。最も大切なのは空手会館の運営」だと中村館長は指摘する。
中村館長は、「稼働率」と「健全経営」の向上を目指して空手会館を運営していくという。
空手会館はもちろん「空手発祥の地・沖縄」のシンボルで空手の本拠地。「軸はぶらせないが、幅を広げたい。そこで、県民や観光客にも足を運んでもらうことが重要」と続く。
「空手会館は、県民の生活に寄り添い、観光客にとっても重要な訪問先になることで普及・発展する」と中村館長は考える。
物理的および仮想的に国内外の空手家の本拠地として会館を位置づけながら、県民や観光客向けの様々なメニューも作って行くという。
「まもなく、会館周辺のツアーをスタートします。同時に、県内の小中高学校生の遠足の場になるように企画しています。さらに、沖縄伝統空手剛柔流池原塾の池原英樹先生による健康セミナー等も開催する予定です。その後は、観光客向けのメニューも作って行きたい」と中村館長は企画を話す。
会館に飾られているルイ・パスツール氏の言葉「準備なき者には、 チャンスは決して訪れない」を実践していく。
指定管理室で会館の運営に取り組む中村館長
後書き:中村靖しは、沖縄拳法の開祖中村茂先生(1891~1969)の孫にあたる。2代目で父の中村丈人先生(1934~)は現在も、名護市大中にある沖縄拳法「中村道場」を見守っている。