2017/10/20

 

 沖縄空手会館資料室には、松村宗昆(1)の遺墨「人常敬恭 則心常光明也」が展示されています。

 この掛軸は、1987年発行宮城篤正著『空手の歴史』(おきなわ文庫)に紹介されており、資料室の作品は、実物をもとに複製されたものです。

 この文は、中国の儒学者 朱子の問答録である『朱子語類』からの引用と思われます。

 宮城氏は「武士松村も文武両道に秀でた武人として知られ、ここに掲載する遺墨はまさにそのことを証明するにふさわしい好資料である。読みは『人、常に敬恭なれば、則ち心は常に光明なり』である。宗昆七十六歳のときに書いたもので、筆力や語句などからいかにも武人らしい作品である。」と紹介しています。

 号「雲勇」、もしくは「武長」と称した松村宗昆のこの素晴らしい遺墨の右側にある「常」の字が特に美しく書かれており、古武術の釵(さい)或いは簪(ジーファー)が回転するかのように思えます。

 ぜひ、沖縄空手会館を訪れ、空手中興の祖(2)こと松村宗昆の書をご鑑賞ください。

 

(1)松村宗昆の「昆」は「棍」とも書きますが、この遺墨では「昆」と明記されています。

(2)空手の中興の祖として、松村宗昆(首里手)、松茂良興作(泊手)、東恩納寛量(那覇手)がいる。

 

写真提供 : 沖縄県空手振興課・沖縄空手会館